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高額療養費制度の使い方と医療費控除との組み合わせ - 限度額適用認定証の取得から申請まで徹底解説
高額療養費制度の使い方と医療費控除との組み合わせ - 限度額適用認定証の取得から申請まで徹底解説
高額療養費制度で医療費の負担を軽減
医療費が高額になり、家計のご負担を軽減できる制度が、「高額療養費制度」です。
この制度を利用すれば、1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される、または最初から支払わなくて済むようになります。
限度額適用認定証の取得が重要
この「高額療養費制度」をスムーズに受けるには、限度額適用認定証が必要です。
認定証の交付手続きは、ご加入の健康保険組合、協会けんぽ、または市町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などにお問い合わせください。
制度は毎年変更される可能性があります
高額療養費制度は、医療費の動向や社会情勢に応じて毎年のように変更されることがあります。
最新の情報は、厚生労働省の公式ホームページでご確認ください。
詳しい資料(PDF)
高額療養費制度とは
制度の仕組み
高額療養費制度とは、同じ月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合に、その超過分を健康保険が払い戻してくれる制度です。
対象となる医療費
- 入院費用:保険適用の治療費、手術費、検査費など
- 外来費用:通院での治療費、検査費、処方薬代など
- 調剤薬局:処方箋に基づく薬代
- 在宅医療:訪問診療、訪問看護など
対象外となるもの
- 差額ベッド代:個室料金など
- 食事代:入院中の食事の標準負担額を超える部分
- 保険外診療:先進医療、自由診療など(一部例外あり)
- その他:診断書作成料、おむつ代、テレビレンタルなど
- 医療用ウィッグ・医療用帽子:治療費ではなく生活補助用品のため対象外
自己負担額の上限(70歳未満)
自己負担額の上限は、年齢や所得に応じて異なります。以下は、70歳未満の方の自己負担限度額の目安です(2024年現在)。
【年収約1,160万円以上(標準報酬月額83万円以上)】
252,600円 + (医療費 - 842,000円)× 1%
※多数回該当:140,100円
【年収約770万円~約1,160万円(標準報酬月額53万円~79万円)】
167,400円 + (医療費 - 558,000円)× 1%
※多数回該当:93,000円
【年収約370万円~約770万円(標準報酬月額28万円~50万円)】
80,100円 + (医療費 - 267,000円)× 1%
※多数回該当:44,400円
【年収約370万円以下(標準報酬月額26万円以下)】
57,600円
※多数回該当:44,400円
【住民税非課税世帯】
35,400円
※多数回該当:24,600円
多数回該当とは:過去12ヶ月間に3回以上、高額療養費の支給を受けている場合、4回目からは自己負担額がさらに下がります。
70歳以上の方の自己負担限度額
70歳以上の方は、外来(個人ごと)と外来+入院(世帯ごと)で限度額が異なります。
【現役並み所得者III(年収約1,160万円以上)】
外来(個人):252,600円 + (医療費 - 842,000円)× 1%
外来+入院(世帯):252,600円 + (医療費 - 842,000円)× 1%
【現役並み所得者II(年収約770万円~約1,160万円)】
外来(個人):167,400円 + (医療費 - 558,000円)× 1%
外来+入院(世帯):167,400円 + (医療費 - 558,000円)× 1%
【現役並み所得者I(年収約370万円~約770万円)】
外来(個人):80,100円 + (医療費 - 267,000円)× 1%
外来+入院(世帯):80,100円 + (医療費 - 267,000円)× 1%
【一般所得者(年収約156万円~約370万円)】
外来(個人):18,000円(年間上限144,000円)
外来+入院(世帯):57,600円
【低所得者II(住民税非課税世帯)】
外来(個人):8,000円
外来+入院(世帯):24,600円
【低所得者I(住民税非課税世帯で年金収入80万円以下等)】
外来(個人):8,000円
外来+入院(世帯):15,000円
自己負担額の計算例
具体的な計算例
ケース1:年収500万円の方が100万円の医療費を支払った場合
- 所得区分:年収約370万円~約770万円
- 自己負担限度額:80,100円 + (医療費 - 267,000円)× 1%
- 計算:80,100円 + (1,000,000円 - 267,000円)× 1% = 80,100円 + 7,330円 = 87,430円
- 結果:実際の支払いは約87,430円(通常の3割負担なら30万円)
ケース2:年収300万円の方が50万円の医療費を支払った場合
- 所得区分:年収約370万円以下
- 自己負担限度額:57,600円
- 計算:一律57,600円
- 結果:実際の支払いは57,600円(通常の3割負担なら15万円)
ケース3:4回目以降の利用(多数回該当)
- 所得区分:年収500万円(年収約370万円~約770万円)
- 通常の限度額:80,100円 + (医療費 - 267,000円)× 1%
- 多数回該当の限度額:44,400円
- 結果:4回目以降は44,400円まで軽減
限度額適用認定証の取得方法
限度額適用認定証とは
限度額適用認定証は、医療機関の窓口で提示することで、支払いを自己負担限度額までに抑えられる証明書です。
この認定証がないと、一旦全額(または3割負担)を支払い、後日払い戻しを受ける手続きが必要になります。
認定証のメリット
- 窓口での支払いが限度額まで:高額な立て替え払いが不要
- 払い戻し手続きが不要:後日の申請が不要
- 家計の負担軽減:一時的な資金負担が少ない
取得の手続き
申請先
- 健康保険組合:会社員の方は勤務先の健康保険組合
- 協会けんぽ:中小企業等で働く方
- 国民健康保険:自営業の方は市区町村の窓口
- 後期高齢者医療制度:75歳以上の方は市区町村の窓口
申請に必要なもの
- 健康保険証:本人確認のため
- 申請書:各保険者で入手(ホームページからダウンロード可能な場合も)
- 印鑑:認印(シャチハタ不可の場合あり)
- マイナンバー:保険者によって必要な場合あり
申請方法
- 申請書の入手:加入している保険者から申請書を入手
- 必要事項の記入:氏名、生年月日、保険証番号などを記入
- 提出:窓口に提出、または郵送
- 交付:通常1週間程度で郵送される(急ぎの場合は窓口で即日交付の場合あり)
ポイント:入院や手術が決まったら、できるだけ早く申請しましょう。急ぎの場合は窓口に直接出向くと即日交付してもらえる場合があります。
マイナ保険証での利用
マイナンバーカードを健康保険証として利用している場合(マイナ保険証)、限度額適用認定証の事前申請が不要になります。マイナ保険証を病院窓口で提示するだけで自動的に自己負担限度額が適用されます。
マイナ保険証のメリット
- 事前申請不要:限度額適用認定証の申請が不要
- 自動適用:窓口提示だけで自己負担限度額が適用
- 医療情報の確認:過去の薬剤情報などを医療機関で確認できる
注意:医療機関がマイナ保険証の読み取り機器に対応していない場合は利用できません。受診前に確認しましょう。
払い戻しを受ける場合の手続き
限度額適用認定証を使わなかった場合
限度額適用認定証を提示せずに医療費を支払った場合、または急な入院で認定証の取得が間に合わなかった場合は、後日払い戻しを受けることができます。
払い戻しの手続き
- 診療月から約3ヶ月後:加入している保険者から「高額療養費支給申請書」が郵送される
- 申請書の記入:必要事項を記入し、領収書のコピーを添付
- 提出:保険者に郵送または窓口に提出
- 振込:約1から2ヶ月後に指定口座に振り込まれる
注意:申請期限は診療を受けた月の翌月の初日から2年以内です。過ぎると時効になり、払い戻しを受けられません。
自動払い戻しの場合
一部の保険者では、高額療養費の支給対象となった場合、自動的に払い戻しの手続きを行う「自動払い戻し」を実施しています。申請不要で診療月から約3から4ヶ月後に自動的に振り込まれます。自動払い戻しの有無は加入している保険者に確認してください。
世帯合算と多数回該当
世帯合算とは
同じ世帯で複数の人が医療機関にかかった場合、または1人が複数の医療機関にかかった場合、自己負担額を合算できます。
合算の条件
- 同一世帯:同じ健康保険に加入している家族
- 同一月:同じ月(1日から末日)の医療費
- 21,000円以上:1つの医療機関・薬局での自己負担額が21,000円以上(70歳未満の場合)
合算例
- 夫がA病院で30,000円、妻がB病院で25,000円支払った場合
- 合算額:30,000円 + 25,000円 = 55,000円
- 自己負担限度額が44,400円の場合、55,000円 - 44,400円 = 10,600円が払い戻される
多数回該当とは
過去12ヶ月間に3回以上、高額療養費の支給を受けた場合、4回目からは自己負担限度額がさらに引き下げられます。がん治療で複数月にわたって入院・通院が続く場合に特に有効な制度です。
軽減額の例(70歳未満)
- 年収約370万円~約770万円:80,100円 + α → 44,400円
- 年収約770万円~約1,160万円:167,400円 + α → 93,000円
- 年収約1,160万円以上:252,600円 + α → 140,100円
ポイント:長期療養が必要な場合、多数回該当により大幅に負担が軽減されます。治療が長引きそうな場合は加入している保険者に状況を確認してみてください。
特定疾病の場合の特例
特定疾病療養受療証
長期にわたり高額な治療が必要な特定の疾病については、自己負担限度額がさらに軽減されます。
対象となる疾病
- 人工透析が必要な慢性腎不全:月額10,000円(一定所得以上は20,000円)
- 血友病:月額10,000円
- 抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV):月額10,000円
申請方法
- 医師の意見書:主治医に特定疾病療養受療証の交付申請に必要な意見書を書いてもらう
- 申請書の提出:加入している保険者に申請書と意見書を提出
- 受療証の交付:審査後、特定疾病療養受療証が交付される
- 医療機関で提示:健康保険証と一緒に受療証を提示
高額療養費制度と医療費控除・その他費用軽減制度の組み合わせ
高額療養費制度と医療費控除は両方使える
高額療養費制度と医療費控除(確定申告)はどちらも利用できますが、計算の順番があります。
医療費控除の計算では、高額療養費として払い戻された金額を必ず差し引く必要があります。
計算式と具体例
- 医療費控除額 = (実際に支払った医療費 - 高額療養費などの払い戻し額) - 10万円
- 例:医療費50万円、高額療養費払い戻し20万円の場合 → (50万円 - 20万円)- 10万円 = 20万円が控除額
- 払い戻し額を差し引き忘れると申告誤りになるため注意が必要です
- 確定申告時には医療機関の領収書と高額療養費の支給通知書を両方保管しておきましょう
医療用ウィッグ・医療用帽子の費用は高額療養費の対象外
医療用ウィッグや医療用帽子は治療費ではなく生活補助用品と見なされるため、高額療養費制度の対象外です。ただし、以下の制度で費用を軽減できる場合があります。
- がん保険の外見ケア特約:10万円から30万円程度が補償される場合がある
- 自治体の助成金制度:1万円から3万円程度の補助を受けられる地域がある
- 医療費控除(条件付き):医師の診断書があれば認められたケースもある
よくあるご質問
Q1. 高額療養費制度とは何ですか?入院費用が高くなった場合にどう役立つのか教えてください。
高額療養費制度とは、同じ月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合に、超過分を健康保険が払い戻してくれる制度です。例えばがん手術で入院費が100万円かかった場合でも、年収500万円の方の自己負担は約87,000円程度に抑えられます。通常の3割負担のまま支払えば30万円になるところを、大幅に軽減できる重要な制度です。対象は保険適用の入院費・手術費・外来費・調剤薬局での薬代などです。差額ベッド代・食事代・医療用ウィッグなどは対象外です。
Q2. 高額療養費制度の自己負担限度額は所得によっていくら違いますか?年収500万円と年収300万円の場合を具体的に教えてください。
自己負担限度額は所得区分によって大きく異なります。年収500万円の方(年収約370万円から770万円の区分)は「80,100円 +(医療費 - 267,000円)× 1%」で計算します。医療費が100万円の場合、80,100円 +(1,000,000円 - 267,000円)× 1% = 約87,430円が上限です。年収300万円の方(年収約370万円以下の区分)は一律57,600円が上限です。住民税非課税世帯の方はさらに低く35,400円が上限になります。いずれも通常の3割負担より大幅に少なくなります。
Q3. 高額療養費制度で「限度額適用認定証」とは何ですか?これがないと入院時にどうなりますか?
限度額適用認定証とは、入院や手術の際に病院の窓口で提示することで、最初から自己負担限度額までの支払いで済む証明書です。この証明書がない場合、窓口では3割負担の金額(例:医療費100万円なら30万円)を一旦全額支払い、後日高額療養費として超過分の払い戻しを受ける手続きが必要になります。払い戻しまでに3から4ヶ月かかるため、一時的に高額な資金が必要になります。入院や手術が決まったら、できるだけ早めに取得しておくことをおすすめします。
Q4. 限度額適用認定証はどこに申請すれば取得できますか?入院が来週に迫っている場合でも間に合いますか?
申請先は加入している健康保険の種類によって異なります。会社員の方は勤務先の健康保険組合または協会けんぽ、自営業の方は市区町村の国民健康保険窓口、75歳以上の方は市区町村の後期高齢者医療担当窓口です。通常は申請から1週間程度で郵送されますが、急ぎの場合は窓口に直接出向くことで即日交付してもらえる場合があります。申請に必要なものは健康保険証・申請書・印鑑(認印)です。入院が来週に迫っている場合は、すぐに窓口に問い合わせることをおすすめします。
Q5. マイナ保険証を病院窓口で提示すると、限度額適用認定証がなくても自動的に高額療養費が適用されますか?
はい、マイナンバーカードを健康保険証として利用している場合(マイナ保険証)、病院窓口でマイナ保険証を提示するだけで自動的に自己負担限度額が適用されます。限度額適用認定証の事前申請は不要です。ただし、利用できるのは医療機関がマイナ保険証の読み取り機器に対応している場合に限られます。受診前に病院がマイナ保険証に対応しているかどうかを確認しておきましょう。対応していない場合は通常の限度額適用認定証が必要です。
Q6. 急な入院で限度額適用認定証を用意できないまま高額な医療費を支払いました。後から高額療養費の払い戻しを受ける方法を教えてください。
診療月から約3ヶ月後に、加入している健康保険から「高額療養費支給申請書」が郵送されてきます。申請書に必要事項を記入し、医療機関の領収書のコピーと振込先口座情報を添付して提出します。提出後、約1から2ヶ月で指定口座に払い戻しが振り込まれます。申請期限は診療を受けた月の翌月初日から2年以内ですので、期限を過ぎないよう注意してください。一部の保険者では申請不要で自動的に払い戻しを行う「自動払い戻し」を実施している場合もあります。加入している保険者に確認してみましょう。
Q7. 高額療養費制度の「多数回該当」とは何ですか?がん治療で3ヶ月以上通院・入院が続く場合に負担はどう変わりますか?
多数回該当とは、過去12ヶ月間に高額療養費の支給を3回受けた場合、4回目以降は自己負担限度額がさらに引き下げられる仕組みです。例えば年収500万円の方の場合、通常の限度額は約87,000円前後ですが、多数回該当になると44,400円まで下がります。がん治療で抗がん剤投与や定期入院が数ヶ月続く場合、4回目以降は毎月の負担が大きく軽減されます。長期療養になればなるほど恩恵が大きくなる制度ですので、治療が長引きそうな場合は加入している保険者に多数回該当の状況を確認してみてください。
Q8. 3月25日に入院して4月10日に退院した場合、高額療養費の自己負担限度額は月をまたいでどのように計算されますか?
高額療養費制度は月単位(1日から末日まで)で計算されるため、3月25日から4月10日の入院では3月分と4月分でそれぞれ別に限度額が適用されます。例えば自己負担限度額が57,600円の方の場合、3月分の自己負担が90,000円であれば57,600円を超えた32,400円が払い戻され、4月分の自己負担が70,000円であれば57,600円を超えた12,400円が払い戻されます。月をまたぐことで各月に限度額がかかるため、可能であれば月の初めに入院すると同じ入院期間でも自己負担が少なくなる場合があります。
Q9. 高額療養費制度と確定申告の医療費控除は両方申請できますか?払い戻しを受けた後で医療費控除を計算するときの注意点を教えてください。
どちらも利用できますが、医療費控除の計算では高額療養費として払い戻された金額を必ず差し引く必要があります。計算式は「(実際に支払った医療費の合計 - 高額療養費の払い戻し額)- 10万円」です。例えば医療費が50万円、高額療養費の払い戻しが20万円の場合、(50万円 - 20万円)- 10万円 = 20万円が控除額になります。払い戻し額を差し引き忘れると申告誤りになりますので注意してください。確定申告時には医療機関の領収書と高額療養費の支給通知書を両方保管しておきましょう。
Q10. がん治療中に医療用ウィッグや医療用帽子を購入しました。高額療養費制度の対象にはなりませんか?他に費用を軽減できる制度はありますか?
医療用ウィッグや医療用帽子は治療費ではなく生活補助用品と見なされるため、高額療養費制度の対象外です。ただし費用を軽減できる方法がいくつかあります。加入しているがん保険に外見ケア特約がある場合は10万円から30万円程度が補償される場合があります。またお住まいの市区町村が助成金制度を設けている場合は1万円から3万円程度の補助を受けられることもあります。医療費控除については基本的には対象外ですが、医師が診断書に必要性を記載した場合に認められたケースもあります。詳しくは医療用帽子・ウィッグの医療費控除と費用軽減制度の解説ページをご参照ください。





